055型大型駆逐艦/南昌級 Type 055 Desrroyer/Nanchang Class
概要
満載排水量が1万トンを超す大型駆逐艦/艦隊防空中枢艦として設計され、米国のタイコンデロガ級ミサイル駆逐艦を上回る大型水上戦闘艦です。1番艦(南昌)が2020年1月、2番艦が2021年3月に就役となり、巡洋艦とも見なされている055型(南昌級)は10隻以上が建造されているといわれ、8番艦まで就役済みです。南昌級は駆逐艦旅洋Ⅲ型/052D型を大幅に強化した設計です。南昌級は今後中国機動部隊の指揮/防空などの中枢艦になると見られています。建造費は1隻9億ドルといわれています。
船体構成
満載排水量が米駆逐艦「アーレイ・バーク」級フライトⅢの1.2〜1.3倍になる1万トンを超す大型艦で、対空戦、対水上戦、対潜戦など多任務に対処可能な装備を搭載し巡洋艦であるとの見方もあります。052型駆逐艦をベースに各部ともさらなるステルス化が図られています。艦橋の上部にあるマストもレーダーステルスを考慮した形状でレーダー他電子機器が統合されたものになっています。対空捜索レーダーはアンテナ回転型ではなく上部構造物の壁面に取り付けられた固定型です。
対空、対艦等のミサイルの発射機が垂直発射型になっています。矩形8セル垂直発射機が前部に8基(64セル)、後部に6基(48セル)装備されています。(合計112セル)
船体後部にはヘリコプター発着甲板や格納庫が設けられています。

動力系
ガスタービン4基によるスクリュー・プロペラ2軸駆動により最大速力は30ノット超とされます。中国大型水上戦闘艦としては初めて国産エンジンによるオールガスタービン推進方式が採用されています。艦内の必要電力に関して推進系と別のガスタービンで駆動される発電機で供給され、将来的に大電力を必要とする電磁レール砲やレーザー砲の装備することを考慮した場合、その電力供給能力にも寄与しているようです。
装備機器(レーダー・ソナー等)
上部構造物の艦橋下にアクティブ・フェーズド・アレイ方式二周波多機能レーダー(周波数C/Sバンド)346B型が四方向(斜前方左右と斜後方左右)に付いています。これは駆逐艦052D型(旅洋Ⅲ)搭載の346A型の能力向上型とされていて、346B型は長距離用の大型アンテナです。ミサイル管制の使用はSバンド(2〜4GHz)は目標探知追尾、Cバンド(4〜8GHz)が低空目標、水上目標探知追尾になります。
艦橋上には統合型マストが搭載されています。マストの四面(前後左右)に射撃指揮機能を含む短距離用の小型アンテナ(周波数Xバンド(8〜12GHz))が取り付けられていて、マスト上部には電子戦や通信用のアンテナ、航海レーダー、敵味方識別装置のアンテナ(IFF)の取り付けも推定されています。
対潜センサー関連は可変深度ソナー、曳航アレイ・ソナー、対魚雷曳航デコイ、アクティブ魚雷防御装置が装備されています。
武器関連
矩形8セル垂直発射機(合計112セル)から運用される装備武器は以下のようになります。
※長距離対空ミサイル HHQ−9B ※中距離対空ミサイル HHQ−16
※短距離対空ミサイル DK−10A ※対艦対地巡航ミサイル YJ−18A/18
※対地巡航ミサイル HN−2/DH−10/CJ−10 、HN−3/DH−10A
※対潜ミサイル CY−5 、YJ−8
船体後部(ヘリコプター格納庫上)に配置されている710型24連装発射機から
※近距離対空ミサイル HHQ−10
船体前部に装備される砲熕武器として ※130mm単装砲H/PJ−38 x 1基
※1130型30mm11銃身機関砲CIWS(発射速度9600発/分)H/PJ−11 x1基
他に※Yu−7魚雷を発射する7424B型324mm3連装魚雷発射管 x 2基も搭載されます。
南昌 Nanchang 101 2020年1月就役 北海艦隊
拉薩 Lhasa 102 2021年3月就役 北海艦隊
大連 Dalian 105 2021年4月就役 南海艦隊
鞍山 Anshan 103 2021年11月就役 北海艦隊
延安 Yan’an 106 2022年2月就役 南海艦隊
無錫 Wuxi 104 2022年3月就役 北海艦隊
遵義 Zunyi 107 2022年11月就役 南海艦隊
咸陽 Xianyang 108 2022年12月就役 南海艦隊

Data | |
満載排水量 | 13,000トン |
基準排水量 | 11,000トン |
全長 | 180m |
幅 | 19.0m |
吃水 | 6.6m |
主機 | COGAG(ガスタービン4基)、2軸 |
出力 | 150,000馬力 |
速力 | 30ノット |
兵装 | ※上記参照 |
搭載機 | ヘリコプター2機 |
乗員 | 280名 |