DF−41(Dong Feng(東風)-41/CSS-X-20) 大陸間弾道弾
中国の軍事開発に関する米国防省の年次報告書で1997年に初めてこのミサイルが言及されていて長い年月をかけて開発されてきました。DF−41は中国の軍事パレードに2015年、2017年と展示が予想されていましたが姿を現すことはありませんでした。しかし、2019年10月1日、新中国建国70周年を祝し、北京天安門広場で行われた軍事パレードで初公開となりました。DF−41はTEL(移動式発射方式)に搭載される方式のICBMとしては最新鋭のものです。
開発
中国ロケット技術研究院(CALT)は1986年7月にDF−41の開発を開始しました。プロジェクトNo.204と名付けられた計画です。1994年にDF−41のプロトタイプがテストされ、2010年には人民解放軍ロケット軍に譲渡したと伝えられています。発射試験機の画像が2007年に確認され、2012年7月24日に同システムの最初の飛行試験が行われました。
2013年12月13日に陝西省の烏寨ミサイル発射センターから中国西部の試験目標まで飛行し、2014年12月13日に3回目の試験が行われましたが、数不明のダミー弾頭によるMIRV(複数個別誘導再突入体)によるものと報じられています。以後2015年8月6日、2015年12月5日、2016年4月12日、2016年4月12日、2017年11月6日と7件以上の飛行試験が確認されているとされます。2015年12月5日の試験は鉄道移動式発射機のシステム試験を実施したものでした。
能力・運用他
DFー41は既存の大陸間弾道弾DF−5、DF−31から射程、搭載量、即応性、命中精度が格段に向上されているとされます。
最大射程は12,000km以上と推定され、その射程は世界最大級になります。米ロ二国間の戦略核拮抗を一転させる新型ICBM(大陸間弾道弾)とされていて、米国のミニットマンICBMを凌駕、ロシアのR−36Mの16,000kmに次ぐもので、北米全域を射程内に収めることになります。
個別誘導が可能で最大10発の弾頭を搭載できるMIRV(複数個別誘導再突入体)でありさらなる多弾頭化もなされています。
発射後は慣性誘導と中国版GPSの北斗衛生誘導方式の併用です。慣性誘導システムの電気エネルギー(電脳)制御により命中精度が大幅に向上されているとされ、CEP(半数必中半径)100mといわれています。
即応性の高い三段式固体燃料による推進でプラットフォームは道路機動、鉄道機動、サイロ発射の三種類です。

2019年初めに内モンゴル自治区ジャルタイ訓練場に18機の配備がされ、同年10月1日の中国建国70周年パレードで16基が公開されました。
一方アメリカ国防省の2021年の年次報告書ではDF−41は部隊配備が行われており、人民解放軍2個旅団への配備がされたとしています。
配備先は第63基地(湖南省懐化市)の第634ミサイル旅団、第64基地(甘粛省蘭州市)の第644ミサイル旅団とする情報もあります。
2018年中国はDF−41サイズのサイロの建設を開始、上述の内モンゴル自治区ジャルタイ訓練場に16個のサイロを建設、2021年には中国北西部甘粛省の砂漠地帯に100個以上の弾道ミサイル用サイロと考えられる構造物も衛生画像で確認されています。

Data | DF−41(東風−41),CSS-X-20 |
クラス | ICBM大陸間弾道弾ミサイル |
プラットホーム | 道路機動、鉄道機動、地下サイロ |
長さ | 20〜22m |
直径 | 2.25m |
打ち上げ重量 | 80,000kg |
ペイロード | 2,500kg |
弾頭 | MIRV(最大10発核弾頭) |
推進 | 3段式固体燃料 |
射程 | 12,000〜15,000km |