中国海軍の高価値目標へ投射

開発の経緯
 雄風Ⅲミサイルは、雄風Ⅰそして雄風Ⅱに続いて台湾国立中山科学研究院によって開発された第三世代対艦ミサイルです。
 雄風Ⅲミサイルの開発は1994年から主要技術関連から開始、1997年に最初の飛行試験を実施、2004年に全ての試験評価を終えました。台湾海軍も2005年に運用試験と検証を終えています。2014年には完全作戦能力(FOC)段階となりましたが、更に雄風Ⅲミサイルの長射程化が計画され、2017年から2019年に試験開発されました。 
 2025年7月15日、台湾(中華民国)の国営中央通信社(CNA)は41回目の年次軍事演習「漢光」で新型国産の地対艦超音速ミサイル「雄風Ⅲ射程延伸型(HF‐ⅢER)」が配備されたと報じました。
概要
 雄風Ⅲミサイルは超音速対艦ミサイルです。それまでの雄風Ⅰ型が固体燃料ロケット推進、雄風Ⅱ型がタボジェットエンジン推進の亜音速巡航であるのに対して、ラムジェットエンジン(初期段階はロケットブースター等を使用)を採用しているのが大きな特徴です。これによりミサイルのコンパクト化、ペイロード容量と運用の柔軟性の向上が為されました。このミサイルは対電子戦(ECCM)能力を有し敵艦の防空網を突破することが計られています。超音速及び海面近くの低高度で滑空し敵艦に突入することで敵艦対処時間の短縮が余儀なくされます。終末段階では横方向の「ランダムウィービング」機動といった特殊軌道を用いたアタックモードも可能です。弾頭は自己鍛造弾を採用し、強力な装甲貫通能力を有しています。
 射程距離は雄風Ⅲが150kmとされていたのに対し、雄風Ⅲ射程延伸型は400kmと推定されています。
 発射プラットフォームは雄風Ⅲ射程延伸型は従来の陸上移動発射式、艦艇発射式に加え、航空機発射型も検討開発中で(雄志とも呼称される)F‐CK‐1”経国戦闘機による運用のようです。

雄風Ⅲ射程延伸型のダミー弾を搭載していると思われるF‐CK‐1”経国”戦闘機(台湾国防軍facebook)

仕様
 このミサイルは機首から順に、誘導・制御、弾頭、推進の3区画から構成されていて、鋭角な接線弾頭形状のノーズ、長尺等経円筒胴体で4個のラムジェット吸気口が設けられ、2基の丸管状ブースターロケット(空中発射型では取り除かれている模様でミサイル本体も小型化)が備わります。
 誘導方式は中間で慣性航法システム+終末はアクティブレーダー(対電子戦(ECCM)能力付)の対艦ミサイルとしては一般的な方式です。
 推進は統合ロケットラムジェットを採用して初期段階では固体燃料ロケットによる燃焼室への統合とブースターロケットでマッハ数に達するまで推進、その後液体ラムジェットエンジンに点火して超音速巡航に移行します。
 弾頭は自己鍛造破片弾が採用され、500ポンドの弾頭が搭載され、ミサイルが目標艦を貫通、船体内部到達を検知すると爆薬が下方に指向すると報告されています。
 中国との戦力差を背景に台湾海軍は非対称戦力の拡充という台湾国防軍全体の方針に基づき、コルベット、高速機雷敷設艦、対艦ミサイル、無人機といった戦力の増強を図っています。そのなかで雄風Ⅲは中国人民解放軍海軍の航空母艦055型駆逐艦などの高価値目標に投射されることが念頭にあると見做されています。

雄風Ⅲミサイル陸上移動式発射システム(国立中山科学研究院(NCSIST))
沱江級コルベットから雄風Ⅲ型SSMの発射風景(Wikipadia)
Data雄風Ⅲ対艦ミサイル射程延伸型
射程400km(推定)
最大速度マッハ2.3
誘導方式慣性航法(INS) +アクティブレーダーホーミング
推進システム固体燃料ロケット+2基ロケットブースター(ブースター段階)
液体ラムジェット(巡航段階)
シーカーECCM機能付きアクティブレーダー
弾頭(重量)自己鍛造破片弾(約230kg)

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By chikumade233

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