殲撃11/jianji11/應龍

ライセンス生産、コピー機によるトラブル
 中国とロシアは1996年2月にSu−27”フランカー”の販売に加えてライセンス生産についても合意、瀋陽飛行機工業集団200機の単座型Su−27をライセンス生産する契約が結ばれます。(複座型のSu−27UBKについてはライセンス合意になりませんでした。)これが殲撃11”J−11”と呼ばれます。ただ当初ロシアからの直接購入のSu−27についても”J−11”と呼称する情報もあり必ずしも区分が明確ではないようです。
 殲撃11”J−11”はノックダウンにより組み立てられた1号機が1998年12月に完成し、その後は次第に国産比率が増やされましたが、エンジンとレーダーなどの電子機器はライセンス生産に含まれずロシアが供給しました。しかし、95機分のキットを引き渡した段階で供給は停止となります。電子装備も古く、ノックダウン生産に過ぎない状況に中国政府が不満を抱き、瀋陽飛行機工業を中心にSu−27戦闘機を元に独自の機体を契約に違反しロシアに無断で生産したので、ロシア側が供給を拒否したとも伝えられますが、これで両国の関係は絶たれません。その後中国がSu−30MKK等他機種について大量発注がありその影響ともいわれています。

独自発展型、各種
 中国はSu−27SKのライセンス生産及び違法なリバースエンジニアリングによって得たノウハウを活かし、Su−27(中国名:殲撃11”J−11”)系統を独自発展させます。
・J−11(殲撃11):Su−27SK”フランカーB”をライセンス生産したもの。レーダー等一部の搭載電子機器がダウングレードされています。
・J−11A(殲撃11A):J−11から電子機器がアップグレードされ、BCVM演算処理装置とN001VEレーダーの装備により、空戦で2個の目標と同時交戦が可能になっているとされてます。コクピットには、画面式計器による電子飛行計器システムが導入されました。R−77(NATOコード”AA−12アダー”)空対空ミサイルの運用も可能になりました。R−77は撃ちっ放し可能で最大射程80km(改良型は110km)です。 

J−11A 主翼端がミサイル・ランチャーではなくECM器材を収容したポッドになっている

・J−11B(殲撃11B):中国独自開発の電子機器を搭載し、国産の対地攻撃兵器を運用できるようにした多用途作戦型です。機体への複合材料の使用で構造重量が700kg程度軽量化され、搭載兵器能力の向上に寄与しているようです。2012年末までに75機が製造されていると推測されています。さらにレーダーをアクティブ電子走査アレイ(AESA)型にする研究も進められましたが、この機種(J−11B)へのレーダー換装については不明です。

J−11B 

・J−11D(殲撃11D):J−11Bの改良型として2014年に開発が着手されたといわれるタイプで、飛行操縦装置を新しいデジタル式フライ・バイ・ワイヤに変更し、レーダーをAESA型に変更、新世代の空対空ミサイルの運用能力、機体フレームへの複合材料の使用比率を増して軽量化等伝えられていますが、内容は確認はされていません。試作機1号機が2015年4月に初飛行し、2号機は同年10月に初飛行していますが、存在が確認されているのはこの2機だけです。同じSu−27の派生型”殲撃16(J−16)”の作業優先の影響で開発の遅れが出たともいわれています。
・J−11BH(殲撃11BH):J−11Bの中国海軍型で2010年5月に初めて存在が確認されました。
・J−11BS(殲撃11BS):”複座型’’の多用途作戦型です。複座型のSu−27UBKはライセンス生産は認められていませんが、購入機による違法なリバースエンジニアリングにより独自開発されたものと考えられています。試作機の製造は2007年に行われ、2008年に外国に情報が伝わり、2009年には存在も確認されました。しかし2009年に墜落事故を起こしたため一時的に飛行試験が中断され、中国空軍が装備認定をだしたのは2010年5月であったといわれています。

J−11BS リバースエンジニアリングによって製造された複座型

・J−11BSH(殲撃11BSH):中国空軍のSu−27UBKのエンジンを”国産”WS−10Aに換装して中国海軍に引き渡されたものとされるが、詳細は不明。

DataJ−11B(殲撃11B)
全幅14.70m
全長21.94m
全高5.93m
主翼面積62.0m²
通常離陸重量23,400kg
最大離陸重量33,000kg
エンジンサトゥルン・リューリカ
AL-31F x 2
燃料容量11,775L
最大水平速度マッハ2.35
実用上昇限度18,000m
離陸滑走距離700-800m
着陸滑走距離620m
固定武装Gsh-301 30mm機関砲 x 1
兵装ステーション数12
戦闘行動半径1,380km
最大航続距離3,680km
乗員1

保有数 : 中国人民解放軍空軍 殲撃11A(95機) 殲撃11B(346機) 
殲撃11D(2機)  中国人民解放軍海軍 殲撃11B/BH/BSH(計48機) 

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By chikumade233

中国人民解放軍主要装備他、気の向くままに軍事に関して掲載します。

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