Su-27戦闘機/Su-27 Air Superiority Fighter
開発経緯他概要
スホーイSu−27’’フランカー’’は、中国の独自開発機ではありませんが、ライセンス生産も行われ、J−11’’殲撃11’’他数種の派生型(改良型)も登場しましたが、当初はSu-27をロシアから直接購入していましたので派生型のJ−11等とは別に記載します。
1969年に旧ソ連で開発作業が着手された先進前線戦闘機(PFI)計画では、大型機と軽量機の2種類を並行して開発することとされました。大型戦闘機の開発にはスホーイ設計局が指名されて、T−10と呼ぶ試作機の製造を行い、1977年5月20日に初飛行させました。ただT−10の設計には問題が多く、開発段階でいくつもの小改修が加えられ、完成形となった量産型が出来上がったのは1982年11月になってのことでした。初期量産型についても事故率が非常に高く搭載電子機器の開発にもトラブルが生じていて、1985年になってようやく試験機が旧ソ連空軍に引き渡されました。これがSu−27’’フランカー’’で、上記のような困難はありましたが、情報公開が進んだ背景から西側の航空ショーにも出展され卓越した運動性能を見せたことから戦闘機としての極めて高い能力を示しました。
切り落としデルタ形状の主翼と双垂直安定板という機体構成になっています。主翼は薄い胴体となだらかな曲線で溶け込まされていて空気抵抗を減らしつつ大きな機内容積を得ています。エンジンはAL−31Fターボファン(アフターバーナー時推力122.6kN)で広い間隔を取ってその胴体の下に取り付けられています。操縦装置はアナログ式フライ・バイ・ワイヤです。にはNIIR N001(NATOコードネーム’’スロット・バック’’)レーダーが収められていて、最大探知距離240kmという能力を有し、目標の最大追跡距離180km,またコクピット前には赤外線捜索追跡装置があります。これは目標が発している赤外線を探知して追跡し、最大探知距離は50kmといわれています。

受領と運用
独自開発戦闘機J−10’’殲撃10’’の開発に着手した中国ですが、J−10は単発の軽量戦闘機で、人民解放軍空軍の求める高性能の迎撃戦闘機としての使用できる機種ではありませんでした。そこで中国はロシアと、双発の大型高性能迎撃戦闘機スホーイSu−27’’フランカー’’について売却交渉を行い、1991年2月合意に至りました。これが中国で「906計画」と呼ばれるもので、単座型Su−27SK’’フランカーB’’20機と複座型Su−27UBK’’フランカーC’’4機をロシアが売却するというものでした。(Su−27SK18機、Su−27UBK6機という資料もあります)1996年には第二次、1999年には第三次の契約も交わされました。これらは対地攻撃も可能なように、最大離陸重量が33,000kgに引き上げられていて、降着装置など機体の一部が強化されています。一方でレーダー火器管制装置や航法装置のダウングレードが行われていて、R−77(AA−12’’アッダー’’)視程外射程空対空ミサイルの運用はありませんでした。
人民解放軍空軍は合意直後からSu−27の受領を開始しています。発注と同様に受領も3回に分けられています。中国は1991年Su−27SKを20機、複座型のSu−27UBKを4機発注し、1992年に受領しました。1995年にはさらにSu−27SKを16機、Su−27UBKを6機追加発注し、1996年には200機のSu−27SKのライセンス生産契約を結びます。こうして中国がSu−27最初の輸出先となりました。ライセンス生産については、瀋陽飛機工業集団で生産が行われることになり、最初のライセンス生産国となりました。中国側の名称は殲撃11’’J−11’’です。しかしライセンス生産に関しては単座型のみ、エンジンとレーダーなどの電子機器はライセンス契約に含まれずロシアが供給しました。ライセンス生産ノックダウンによる1号機は1998年12月にロールアウトしましたが95機生産後計画が打ち切られます。(96機、または105機という報道もあり正確な機数ははっきりしません)1999年にはSu−27UBK(ライセンス生産対象外)を28機追加発注しています。

Data | Su-27SK”Flanker B” |
全幅 | 14.70m |
全長 | 21.94m |
全高 | 5.93m |
主翼面積 | 62.0m² |
通常離陸重量 | 23,400kg |
最大離陸重量 | 33,000kg |
エンジン | サトゥルン・リューリカ AL-31F x 2 |
燃料容量 | 11,775L |
最大水平速度 | マッハ2.35 |
実用上昇限度 | 18,000m |
離陸滑走距離 | 700-800m |
着陸滑走距離 | 620m |
固定武装 | Gsh-301 30mm機関砲 x 1 |
兵装ステーション数 | 10 |
戦闘行動半径 | 1,380km |
最大航続距離 | 3,680km |
乗員 | 1 |
保有数
人民解放空軍 : Su−27SK”フランカーB”(78機)
Su−27UBK”フランカーC”(30機程度)